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以下は当院の(旧)『院長のサクサク治療日記』より抜粋した記事(数回分)です。


■痛みの原因がヘルニアではないことも

(前略)
 余談ですが、ヘルニアと診断されても、その痛みの原因はヘルニアにはないことも多々あります。

ヘルニアと診断されたものの、当院でたった一度で痛みはなくなり、何事もなく帰っていったケースも度々ありましたが、この激痛が本当に繊維輪が破れて髄核が飛び出すヘルニアが原因でもたらされたものなら、たった一度で何事もなかったようにスタスタと歩いて帰ることなど到底できません。(ただし、ヘルニアが在っても全く無症状というケースもあります。この場合、患者さんはそもそも受診しません。【後述します】)
 ということは、それはヘルニアなどではなく、単に脊柱の椎間孔から出て脚足へ向かう神経をどこかで絞扼していただけの(どちらかというといわゆるギックリ腰に近い)状態だったということです。

 ヘルニアが存在しなくても、筋トーヌスの亢進など何らかの理由で腰神経叢から坐骨神経や大腿神経へ向かう経路のどこかで神経絞扼が起きていれば、腰から脚足へと下行していく一連の神経(坐骨神経から足先まで分岐した神経)に沿って痺れや痛みを感じることは至極当然です。出る症状も椎間板ヘルニアによる神経症状に類似します。


■ヘルニアがあってもなくても痛みを取ることは可能


 では、神経絞扼がどこで起きるかですが、

 @脊柱管から外へ出て直ぐの脊柱起立筋群で絞扼されるのかというのがそのひとつです。しかしこのケースは解剖学的に絞扼する位置にはないので疑わしいものです。ただし、起立筋群のトーヌス亢進(交感神経による)で周辺の筋群も過剰に緊張することで、腰神経叢の絞扼はあり得ます。臨床的に単一の筋だけトーヌス亢進することのほうが不自然に感じます。これだけが臀部や脚足の痺れ感や痛みなら施術は容易です。この症例を速やかに治せないなら「ヤブ」認定です。腰神経に直に接触しているのは大腰筋の深層です。脊髄神経が脊柱管から外へでたところで腰神経に接触する筋です。この場合は大腰筋の緊張を解除するだけで劇的に症状が緩和します。

 A実際には本当にヘルニアがあるのだけれど、それが直接ヘルニアによる神経症状を引き起こしているのではなく、例えば腰部の場合、ヘルニアの軽度圧迫によって腰神経叢に若干なりとも異常な信号が流れます。その腰神経叢の一部は臀筋群を支配しているので、臀筋群が正常なパフォーマンスを発揮できません。
 それでも大脳半球からの’要求’はいつもと同じ様な動作を求めてくるので、その指示通り動かそうとします。つまり動けないのに動かそうとするのだから、筋群にとっては無理を強いられることになり、これが数日続くと今度は疲労した臀筋群のトーヌスが亢進します。
 これにより臀筋群の内、特に外転筋群に分類される梨状筋や双子筋の間隙から腰神経叢の延長でもある坐骨神経が骨盤内から表層へと顔を出しているので、これらのトーヌスが亢進した外転筋群に絞扼されて、時間の経過とともに本格的にヘルニア症状が発現してきます。
 また、中臀筋などは坐骨神経を絞扼するような解剖学的位置関係に在りませんが、筋トーヌスの亢進は交感神経ですので、中臀筋の交換神経も興奮して中臀筋もトーヌスは亢進します。

 こうして、ヘルニアの突出状況はMRI像では何の変化も認められないのに、時の経過(=患者さんは日々生活しているのですから筋活動は継続し回復することなく疲労していきます)とともに症状が悪化するのは腰神経叢のヘルニアによる軽度圧迫(これだけでは症状が出ないことがよくあります。【後述】)によりパフォーマンスが低下した臀筋群に通常通りの動作を要求して疲弊が進行していくからなのです。疲労は筋収縮によるものですし、その筋収縮が解けないと疲労が蓄積します(肩凝りも同じことです)。疲労し切った筋は強く収縮し始め坐骨神経をいよいよ絞め上げて行きます。
 この段階では患者さんの居ても立ってもいられない、どこが痛いのかピンポイントでは示せない、しかし、臀部から大腿の裏側、下腿裏(ふくらはぎ)、足底へと走る形容しがたい痛みやストレスフルな痺れはピークに達します。(患者さんが当院に紹介されて来院されるのは大抵このピークの段階です。)

 真性のヘルニアならどの腰椎間の神経圧迫には臀部、脚、足のどこに症状が出るか明白に解っています。しかしMRIで例えば第5腰椎-仙骨間にヘルニアが認められるのに、出ている症状は全く対応していない箇所であることを臨床上何度も経験しています。症状の本体は二次的に惹起された臀筋群のトーヌス亢進による坐骨神経の絞扼によるものだという証左です。
 このケースの場合も、MRIでヘルニアがあっても放置して、臀筋群の特に深部のそれらによる神経絞扼を手技により先ず解除してやることで、第1回目の施術でヘルニア症状は「痛いけれど、まあ、顔をしかめるほどじゃないね。」ぐらいには劇的に緩和します。こうして痛みも痺れも消えたのに、MRI画像では依然としてヘルニアが認められるのですから、これでは症状の原因がヘルニアだとは言ってよいかというと、一次的にはヘルニアが原因ですから、飽く迄ヘルニアが根本原因であることには違いはありません。第1回目で劇的な症状緩和を見せても、腰神経叢に異常な信号を送っているヘルニアは厳として存在しているので、その神経支配下にある臀筋群のトーヌスは再び亢進して坐骨神経絞扼を起こします。施術を繰り返すうちに悪循環が断ち切られ、臀筋の異常な収縮も弱くなって穏やかな日常生活が戻ってきます。
 ヘルニアはそのまま放置しておいても、症状が出ていない間に、マクロファージなどが異物として次第に貪食処理していくことでしょう。大きなヘルニアほどよく貪食してくれるようです。個人差は大きいでしょうが、半年ほどで支障ない程度に処理されます。これも症状が出ていないなら半年かかっても1年かかっても患者さん本人は意識することはありませんから必要以上に気にすることはないでしょう。(寧ろ、「症状は無くても無理はできないな」と慎重なぐらいが予防の観点からは丁度よいのではないでしょうか。)

 @もAの場合も、人為的にはオペ以外にヘルニアを切除する方法はなく、自然にはマクロファージの貪食に任せるしかないのですから、患者さんを一番苦しめている痛みと痺れを取り除くことを最優先にして過剰な筋トーヌスを抑制すべく交感神経の沈静化を図るべきでしょう。
 (整形外科でオペをするまでもない場合に処方される薬物に筋弛緩薬が含まれるのも、この理屈です。ただ多くの患者さんいわく「ほとんど気休めね。鎮痛剤の方がまだ効く。」だそうです。残念。)
 痛みがでなければ、患者さんに自覚症状はなく、後はマクロファージ(Mφ)による貪食など自然に任せるより他はありません。(つまり、ヘルニアを持っていても自覚症状のない人々と同じ状態です。患者さんが整形外科で撮ってもらったMRIでは、ヘルニアが水分を失いつつあり真っ黒に写るほどになっている状況でも、繰り返し施術して2週間目には顔をしかめるほどの痛みはなくなることがよくありますが、2週間でMφがヘルニアを貪食仕切ることなど到底ありませんから、痛みはなくなってきても再度MRIで撮れば厳としてヘルニの存在は解釈されるでしょう。ひょっとするとドクターに「これで痛くないの?」と訊ねられるかもしれませんね。)


 Bまた、臀筋群のよる坐骨神経の絞扼ではなく、神経周辺の脊柱起立筋群の炎症が神経を刺激して痛みとなっていることもあります。このケースは当然、脊柱起立筋群へのアプローチとなります。このケースの方が施術としては楽です。また、このケースはヘルニア自体は少ししか突出していないのにものすごく痛がる場合があるのも特徴ですが、処置は比較的簡単ですから、手技があれば、半分素人のような施術者でも’それなりに’結果を出せるケースです。


 C反対の例として、現にMRI横断像で黒く写ったヘルニアが馬尾神経を圧迫しているのを解釈できても、痛みもなければ脚足に痺れも感じていないことがあるのは既に述べたとおりです。ヘルニアによる神経圧迫の強度は勿論、角度もあるように思います。このように接触や軽度圧迫では痛みも痺れも感じず無症状なことは意外にも多いのです。(ただし、既に神経叢にはオカシナ信号が流れていますから、早晩、自覚できるヘルニア症状が発現する可能性は捨て切れません。)

■ドクターが痛みの直接的原因がヘルニアだと診断しても不思議ではない理由

 では、先に【後述します】と記したことに触れましょう。
 仮に、椎間板の繊維輪が破れて髄核が飛び出していて本当に椎間板ヘルニアだったとしても、神経に接触しているからといっても必ずしも痛みが出るわけではないのです。そもそも神経は生体内で宙に浮いて何にも接触していないなどということはありません。もともと筋肉、骨、血管や脂肪組織など何かに接触しているのですから、「接触しているから痛い」というのはオカシナ話なのです。


 火曜日の記事で述べたように、実は、腰痛を持っていない健康な人々のMRI画像ではなんと78%の人に明らかな椎間板のヘルニアや変性が見つかり、神経を圧迫していることが確認できます。全く無症状、無自覚でもヘルニアは大小様々見つかるのです。そしてある日、激しい腰痛や脚足の痺れ、痛みで受診すると(無症状の頃から持っていた)ヘルニアが当然見つかります。そして原因は「はい、腰椎椎間板ヘルニアね。」となるのも当然なのです。

 しかし、そのヘルニアは何の症状も感じたことがない頃から存在したのだから、その激しい痺れや痛みの原因はヘルニアではないわけです。従って、切除術を受けても結果は芳しくなく、患者さんは不満かつ不安ということになってしまうのです。

 では、ヘルニアだという先生の診断は間違いだったのでしょうか。そうではありません。ヘルニアは厳として在るわけですから、ヘルニアですし、一次原因であることも間違いありませんし、オペも100%成功しているでしょう。その先生の診断には間違いはなかったのです。

 現に、疼痛の誘発テストを行うと症状は増悪するし、MRIでも確かに椎間板のヘルニアが認められます。神経も明らかに圧迫されています。患者さんは激痛を訴えています。この状況で、原因はヘルニアではないと言うほうがおかしく、誰も疑うことはありません。

 真相は、一次原因であるヘルニアによって腰神経叢に異常な信号が流れて、その支配下にあるトーヌスが亢進した筋による神経絞扼が痛みや痺れを起こしている直接的な原因なのです。受診すればヘルニアが見つかるので、『ヘルニア認定』を頂くことになります。ヘルニアは確かにある、しかし、痛みの直接的原因ではないと言えます。

 こうした事実はヘルニア自体は放置しておけばよいと院長が’暴言’を吐いてきた正当性が証明された事を意味します。(絶対に放置してはいけないアブナイ例もあります。)

 そして、この神経絞扼を起こしている筋の強い収縮には交感神経が関わっているのです。自律神経ですから意思の力で弛緩させることは出来ません。基礎医学の教科書では、起立筋は骨格筋(横紋筋)ですから、内臓平滑筋のような自律神経の支配ではないけれど、先日書いた記事のように実際には「自律神経(交感神経線維は5%ほど末梢神経繊維に含まれています)による骨格筋支配」があることを考えると、神経絞扼によってヘルニア様の痛みを起こしている筋収縮が交感神経の過度の興奮によるものだと納得できます。
 (交感神経ですから精神的ストレスによっても興奮します。強い怒りや不安で腰痛になるのもこのためです。正確には怒りや不安で腰痛になるのではなく、怒りや不安などのストレスで痛みを制御している仕組みが減弱して痛みが強くなるのです。医学的には、話は中枢神経にさかのぼって大脳半球にある側坐核がストレスにより鎮痛物質であるオピウム類縁物質(オピオイド:いわば脳内麻薬です)を分泌しなくなり、抑えていた痛みが制御できなくなって症状が増悪することも解明されています。)

 目の前でどうしようもない痛みと痺れに不安と苦痛を通り越して、やり場のない怒りにピリピリしている患者さんへの現実的対応として、生体の反射を正しく利用した熟練の手技で筋トーヌスの亢進した筋群と自律神経にアプローチして一刻も早く患者さんが楽になることの方がヘルニアの処理よりも優先されます。

 【ヘルニアが直接原因でない痺れや痛みに似た繰り返す痛みや特にそれほど頻回でもない繰り返しの作業をすると直ぐ痛みが出るような場合は筋膜が原因になっていることも大変多く経験します。これについてはいずれの機会にか改めてお話したいと思います。】

■専門医による診断は絶対条件・・・放置すると「ヤバい」ヘルニア


 最後に非常に大事なことをひとつ申し添えます。ヘルニアの「絶対に放置してはいけないアブナイ例」についてです。

 前述のように、ヘルニアによって二次的に腰神経叢支配下の筋群が疲労し、筋トーヌスも亢進し、神経絞扼を起こす場合は、当該筋群への正しいアプローチで、症状が出ていない間にヘルニアなど自然に処理されていくので経過観察せざるを得ないし、医科であっても、オペ以外ではリハビリや筋弛緩薬、鎮痛薬の服用で、やはりヘルニア自体はそのままにして経過観察することを記しました。
 問題は、本当に一次的、直接的にヘルニアによる腰痛、脚足のしびれや激痛もあるというのがなんとも悩ましいところなのです。また、重度になると尿意や便意を感じなくなり、排尿が困難になる、失禁するなど膀胱直腸障害が現れたり、脚が動かなくなるなどの運動麻痺が起こります。こうした場合は、緊急オペ適用となりますから、整形外科の先生による診断はきわめて重要です。患者さんがヘルニアのタイプを自己判断するのは極めて危険です。まずは医科の専門医による診断が最優先であることは言うまでもありません。

 それでオペ適用とならず、投薬、リハビリ(といっても主に牽引です)だけでは如何ともし難く、埒が開かないときこそ当院の出番です。呼ばれれば応えます。オペ適用の症例でなければ、当院の第1回目の施術で手ごたえを感じていただけることでしょう。

お大事に!
ひかり自律整体療術院(つかさ接骨院) 


    


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